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飲食店の開業費用の内訳と予算の立て方 — 税理士が教えるお金の準備

飲食店の開業にはいくらかかるのか

飲食店を新規オープンするために必要な費用は、立地や規模にもよりますが1,000万〜2,000万円が一つの目安です。カウンター10席ほどの小さなお店なら800万〜1,000万円に抑えられるケースもありますが、30席以上のフルサービス店舗では1,500万円を超えることがほとんどです。居抜き物件をうまく活用すれば、スケルトンからの出店より300万〜500万円ほどコストを下げられることもあります。

開業費用は大きく「物件取得費」「内装・設備工事費」「厨房設備・備品費」「運転資金」の4つに分かれます。まずは全体像をつかんでおくと、予算を組むときに抜け漏れが減ります。

開業費用の内訳

飲食店の開業資金を項目ごとに整理すると、以下のようになります。

項目金額の目安全体に占める割合
物件取得費(保証金・敷金・礼金・仲介手数料)150万〜350万円約10〜20%
内装工事費(客席・外装・看板含む)300万〜600万円約25〜35%
厨房設備工事(排気ダクト・給排水・ガス)200万〜500万円約15〜25%
厨房機器・什器(業務用冷蔵庫・オーブン・コンロ・食洗機など)150万〜400万円約10〜20%
食材・消耗品(初回仕入れ分)30万〜80万円約3〜5%
営業許可・届出関連費(食品衛生責任者講習・防火管理者講習など)5万〜15万円約1%
広告・販促費(食べログ掲載料・Googleマップ対策・チラシなど)30万〜80万円約3〜5%
運転資金(家賃・人件費・食材費・光熱費の3〜6ヶ月分)200万〜500万円約15〜25%
合計(概算)1,065万〜2,525万円100%

一番インパクトが大きいのが内装工事費と厨房設備工事費です。飲食店の場合、客席まわりの内装だけでなく、厨房の排気ダクト工事が高額になりがちです。特に「重飲食」と呼ばれる焼肉・中華・焼き鳥などの業態では、排煙量が多いためダクト工事だけで200万〜300万円かかるケースもあります。一方、カフェや軽飲食であれば、既存のダクトを流用できることも多く、工事費を大幅に抑えられます。

物件を選ぶ段階で、排気ダクトの有無と容量・電気容量・ガスの種類(都市ガスかプロパンか)・グリストラップの設置状況を確認しておくと、設備工事の見積もり精度がぐっと上がります。

居抜き物件の活用

飲食店の開業では、前テナントの厨房設備や内装をそのまま引き継ぐ「居抜き」が広く利用されています。造作譲渡料として100万〜300万円程度かかることがありますが、スケルトンから一式揃えるのと比べれば数百万円単位で節約できます。

ただし、居抜きにも注意点があります。冷蔵庫やコンロなど中古設備の故障リスク、前のお店のイメージが残って集客に影響するケースもあるため、「どこまで手を入れるか」を事前に整理しておくことが大切です。

予算の立て方 — 自己資金と融資のバランス

開業費用のすべてを自己資金でまかなう必要はありません。多くの飲食店オーナーは、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会付き融資を利用しています。

ポイントは、自己資金の割合です。融資審査では「開業費用の3割程度を自己資金で用意しているか」が一つの判断材料になります。たとえば、総額1,500万円の開業を計画するなら、自己資金は450万〜500万円が目安です。

予算を組むときの手順を整理します。

  1. 出したいお店のイメージ(業態・席数・広さ・エリア)を決める
  2. 物件の候補をいくつか見て、物件取得費と設備状況(ダクト・ガス・グリストラップ等)を把握する
  3. 内装業者・厨房設備業者に概算見積もりを依頼する
  4. 厨房機器のリストを作り、新品購入・中古購入・リースを比較する
  5. 運転資金を家賃・人件費・食材費・光熱費の3ヶ月分以上で計算する
  6. 合計額から自己資金を引いた残りが融資の申込額になる

ここで見落としがちなのが運転資金です。開業直後は想定どおりに売上が立たないことも多いため、最低3ヶ月分、できれば6ヶ月分の固定費を手元に残しておくと安心です。飲食店は食材の仕入れが毎日発生するため、日々の資金繰りが他業種より厳しくなりがちです。開業してすぐに資金繰りが苦しくなるケースの多くは、内装や設備に予算を使いすぎて運転資金が足りなくなることが原因です。

税務面で知っておきたいこと

開業時に支払ったお金は、税務上の処理が項目によって異なります。

  • 10万円未満の備品 — 購入した年に全額を経費にできる
  • 10万円以上の設備(業務用冷蔵庫・オーブン・食洗機など) — 減価償却資産として数年に分けて経費計上する
  • 内装工事費 — 建物附属設備として耐用年数に応じて減価償却する(工事区分により耐用年数は異なり、電気設備は15年、給排水設備は15年、内部造作は10〜15年が目安)
  • 厨房設備工事(排気ダクトなど) — 建物附属設備として耐用年数に応じて減価償却する
  • 開業前に支出した費用(研修費・交通費・営業許可の取得費用など) — 開業費として任意のタイミングで経費にできる

開業届を出す前に支払った調理研修の受講料、物件の下見にかかった交通費、食品衛生責任者講習の受講料なども「開業費」として計上できるので、領収書は開業前から保管しておいてください。

当事務所のサポート

飲食店の開業準備では、事業計画書の作成と資金調達の段階から税理士が関わることで、融資の成功率が高まります。当事務所では、開業資金の見積もりチェック・創業計画書の作成支援・金融機関との面談同席まで、開業前から一貫してサポートしています。「費用の見積もりが妥当か見てほしい」「融資にいくら申し込めばいいか分からない」といったご相談も歓迎です。

飲食店の税務、一人で悩んでいませんか?

この記事を書いた人

小松 啓

小松 啓

公認会計士・税理士

大分県出身。監査法人・コンサルティング会社を経て独立。食べることが好きで、出張先でも地元の飲食店を巡るのが楽しみです。飲食店の経営は毎日が勝負。仕込みや営業に集中していただけるよう、帳簿まわりの面倒ごとは当事務所が引き受けます。

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