帳簿をつける義務は全員にある
「うちは小さなお店だし、帳簿なんて大げさでは?」と思うかもしれません。でも、個人事業主として飲食店を営んでいる場合、青色申告・白色申告を問わず、帳簿をつけて保存する義務があります。これは2014年の法改正以降、所得の金額にかかわらず全員が対象です。
帳簿をきちんとつけておくと、確定申告がスムーズになるだけでなく、毎月の利益を把握できるので「今月は食材原価を使いすぎたかな」といった経営判断にも役立ちます。
飲食店の帳簿づけ3ステップ
帳簿と聞くと難しそうですが、やることは大きく3つだけです。
ステップ1:売上を毎日記録する
飲食店は現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など、多くの決済手段が混在しやすい業種です。1日の営業が終わったら、レジの合計額をメモまたは会計ソフトに入力します。ポイントは、ランチ・ディナー・ドリンク・テイクアウトなど、区分別に分けて記録すること。同じメニューの注文が10件あれば、まとめて「日替わりランチ ×10」と記載すればOKです。
飲食店では店内飲食(標準税率10%)とテイクアウト(軽減税率8%)で消費税率が異なります。POSレジの集計機能を使って、税率ごとの売上を毎日区分しておくと、確定申告のときに慌てずに済みます。
現金売上は翌朝までに売上専用の口座へ入金するクセをつけると、通帳の残高と帳簿の数字が一致しやすくなり、あとからズレを探す手間がなくなります。
ステップ2:経費の領収書を整理する
食材の仕入れや消耗品の支払いがあったら、領収書を月ごとに封筒へ分けて保管します。12枚の封筒を用意して、1月~12月と書いておくだけで十分です。カード払いの場合は利用明細も保管しておきましょう。
飲食店で多い経費の仕訳例はこちらです。
| 支払い内容 | 勘定科目 | 補足 |
|---|---|---|
| 食材・調味料・飲料の仕入れ | 仕入高 | 料理提供に直接使うもの |
| 割り箸・紙ナプキン・洗剤 | 消耗品費 | 10万円未満のもの |
| 食べログ掲載料 | 広告宣伝費 | Googleマップ広告やチラシも同じ |
| 店舗の家賃 | 地代家賃 | 自宅兼用なら面積按分 |
| 厨房設備の修理 | 修繕費 | 内装の補修も含む |
| ガス代・水道代・電気代 | 水道光熱費 | 自宅兼用なら使用割合で按分 |
経費の支払いはなるべくお店専用のクレジットカードか口座振込にまとめると、あとで帳簿へ入力するときに漏れが減ります。レジから直接経費を支払うと、売上の金額とレジ残高がズレる原因になるので避けた方がいいです。
ステップ3:会計ソフトに入力する
手書きの帳簿でも申告はできますが、転記ミスや計算ミスが起きやすいので、会計ソフトの利用がおすすめです。今は「いつ・何を・いくらで」を入力するだけで、複式簿記の帳簿を自動で作ってくれます。
主なクラウド会計ソフトの比較はこちらです。
| ソフト名 | 月額料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| やよいの青色申告 オンライン | 年11,330円~ | シェアNo.1。初年度無料プランあり |
| freee会計 | 年12,936円~ | 簿記の知識がなくても直感で操作しやすい |
| マネーフォワード クラウド確定申告 | 年11,880円~ | 銀行口座やカードとの連携が強い |
どのソフトも無料お試し期間があるので、まずは触ってみて自分に合うものを選ぶのが一番です。
帳簿・領収書の保存期間に注意
作成した帳簿や領収書は、確定申告が終わっても捨てられません。保存期間は申告の種類によって異なります。
- 青色申告の帳簿 — 7年間
- 青色申告の領収書・請求書 — 7年間(前々年の所得300万円以下なら5年間)
- 白色申告の帳簿 — 7年間
- 白色申告の領収書 — 5年間
たとえば2025年分の帳簿は、2026年3月の申告期限翌日から起算して7年間、つまり2033年3月まで保管が必要です。万が一の税務調査に備えて、すぐ取り出せるように整理しておきましょう。
65万円控除を受けるなら電子申告がカギ
青色申告では最大65万円の特別控除が受けられますが、この満額控除を受けるには複式簿記での記帳に加えて、e-Tax(電子申告)または電子帳簿保存のどちらかが必要です。これを満たさない場合、控除額は55万円に下がります。
会計ソフトを使えば複式簿記は自動で作成されますし、e-Taxでの提出もソフトからそのまま行えるものがほとんどです。年間10万円の控除の差は、所得税率が10%の方でも約1万円、20%の方なら約2万円の節税になるので、早めに電子申告の環境を整えておいて損はありません。
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